2023.06 Riverside Sumida Landscape Renewal
COMMUNITY ENRICHMENT
VIBRANT DESIGN
SPECIAL FRAMEWORK
既存の樹木を維持しながらレジデンシャルの前庭として生まれ変わった
東京都総合設計制度による公開空地のリニューアル。東京都としては公開空地改修協議は第一号。竣工後30年近い年月がたって老朽化が進み、近隣および入居者による違法駐輪地帯となっており、公開空地としての機能を損なっていた状況を鑑み、大規模な改修が認められた。全体として均質で凡庸とした空間が広がっていたが、集合住宅棟、商業棟、業務棟と用途の分かれた建築物に対し、それぞれの建物にあった空間をゾーンごとに展開することで、メリハリがあり、より建物へアクセスしやすい空間構成に再編している。また入居者駐輪場を拡大するとともに、施設利用者以外が公開空地に物理的および心理的に気軽に駐輪できないような空間構成の再編を行い、改修後の敷地内駐輪を一掃することに成功した。
リニューアル前の景観:駐輪車両であふれ敷地全体が均一な床仕上げ
隅田川沿いに立地し、最も近い東向島駅からは徒歩20分、鉄道駅からは離れている立地であるが専用連絡バスが曳舟駅と連絡しており便は良い。総合設計制度を活用し、23,000㎡の敷地を高度利用、有効利用している。
所在地 | 東京都墨田区堤通一丁目19 |
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主用途 | オフィス、店舗、住宅 |
事業主 | 非公開 |
全体監修、建築・ブリッジ改修設計 | ㈱IAO竹田設計 |
景観改修設計 | ㈱ランドスケープデザイン |
リニューアル工事施工 | ㈱大林組 |
リニューアル工事竣工 | 2021年4月 |
リニューアル前の景観:違法駐輪であふれていた
既存の樹木を維持しながらレジデンシャルの前庭として生まれ変わった
わかりにくかった住宅棟の入り口も明快になった
ペデストリアンデッキ下は格好の違法駐輪エリアとなっていた。その下に入りにくいようにベンチを設け、子供の遊び場として人工芝を整備するという極めて最小限のデザイン介入で、豊かなレジデンシャルガーデンを実現している。既存のケヤキをすべて保存することによってが新しい景観がより熟成されたものとなっている。
リニューアル前の景観:時代に合わない巨大な照明オブジェ、仕上げグレードの低い水盤、均質的で老朽化した舗装
消防用水の貯水面を高付加価値のウォーターフィーチャーとして再生
水辺で憩えるように既存防火水槽躯体にベンチを設置し、水盤を緑で囲うことで落ち着いた空間を創り水面を再生した。
リニューアル前の景観:商業施設の視認性が悪かった
駐輪エリアを明快にし樹木を間引いて道路からの視認性も向上した
駐輪場をガラスのスクリーンで隠し、駐輪の場だった入口前に植栽帯を設置し豊かなエントランスを設えた。敷地内並木を2本伐採することにより道路からの視認性も上がり、商業的不動産価値の向上にも貢献している。
リニューアル前の景観:利用されないスツールが点在していた
大きなベンチによる賑わい創出
1人用スツールが樹木の下に設置されてた現況に対し、面上の大きなベンチを設けることで多くの歩行者の憩いの場となり、滞在者を増やすことで賑わいを生むことを意図した。
既存樹木を生かし、再編することで、新しくも成熟した風景を創出することに成功した。
リニューアル前の景観:バックヤードのような寂しい雰囲気
床壁天井の美装化により再生
リニューアル前の景観:コーンやサインで駐輪を防いでいた
駐輪を防ぐ植栽帯の整備
※写真提供:㈱エスエス 堀越圭晋